アテネの夜

アテネに夕闇が迫る。アテネに26歳のちょっとした知り合いがいる。その彼が10時にダンスを見せてやると言ってくれている。10時まで夕食無しというのもなんだが、まぁいいか。ただ、民族ダンスなんかを期待したがどうも違う様子。

10時過ぎにホテルを出発。アテネを抜け出し、空港方面へ小1時間。半島の一番端に辿り着く。そこはエーゲ海を望む海岸べりの大きなレストラン。我々はビーチサイドに座り、真っ黒な海を見ながら夕食をとる。ビーチにはビーチバレーができるようになっているが誰もいない。それどころか、11時になっても客は我々だけ。大きなホールがガラーンとしている。彼曰く12時過ぎから人が来る。彼ここの顔馴染みのようでボーイや経営者とツーツーのように話している。

彼の言通り12時を過ぎると人で埋まり始める。我々も食事を終え、浜辺側の席からホールの中央部のテーブルへ移動する。ディスコ音楽が鳴っているが踊る風でもなく皆がグラスを片手に立って話している。1時も過ぎるといよいよ混雑で歩くスペースもなくなる。だいたいテーブルは少なく、座っている方が異質な感じになってくる。

そう、ここは金持ちの息子たちが夜な夜な遊びに来るプレイスポット。また、そんな男たちの金か結婚かを目当てにエキセントリックな衣装の女達(といってもプロではなさそう)が獲物を狙っている(私にはどちらがどちらを狙っているのかわからない)。だいたいが日本人とは造作が違うギリシア女性がボディコンなのであるから、ふんふん。

彼はガールフレンドは3人いて、今夜は別のを探すと言っていた。が、私の手前か今夜は特に女性には声をかけずに終わったようだ。

2時過ぎに我々は人を掻き分け掻き分け退散したが、外にはベンツやBMWなどばかり。ギリシアの金持ちは我々の比じゃないからねぇ。日本人どころかギリシア人以外の外人は誰もいないディスコはマサイマラのナイトサファリでライオンの猟をを見た時のような感覚になり、入ってはならない世界に入ったような気になった夜であった。