イグアス・フォールズ (記96/8/23)

ブラジル側今まで持っていた「滝」という概念が完全に打ち砕かれてしまった。

日本語には「瀑布」という言葉もあるのでそれを使わなければ華厳の滝や白糸の滝に申し訳ない。


さて、サンパウロまで仕事で来ていて、土日の休みが暇なので以前より行きたかったイグアスに1泊小旅行としゃれ込んだ。

地球儀で見るとサンパウロとイグアスなんて近いものであるが、そこはそれ大きな大地のブラジルのこと、1000kmもあったのだ。

これは京都から花巻や盛岡に一泊旅行するようなもので結構高くついてしまった。当時の換算レート自体が何か怪しいのだが、ツアー料金が5万円程度かかったように記憶している。


イタイプー・ダム

まず、フォス・ド・イグアスの空港に着いて最初の観光は本命の滝ではなく、イタイプー・ダムである。これは世界最大の水力発電ダムであるが、あまりの大きさに写真を掲載するのはやめにした。

なぜなら、撮った写真からでは比較の対象がないので大きさがまったくわからないのだ。

ダムの主要部分で1406m、高さ185mというから60階建てのビルに等しく、総延長は8kmになんなん。こんなの写真に撮っても車も豆粒でしかないのであります。

またこの建設費が今の対外債務の原因だとも言われてるようで、発電しても送電設備が完備されていなくて送電できないなんて、なんとブラジルらしいことか。

16あるタービンの内、今日は1つしか使っていない。もったいない話である。パラグアイ側は今日は使っていない。

ま、周りも何もないので感動が涌いてこない。黒部のように山の中にあれば、また違った印象を持つだろうが。


イグアス・フォールズ

イタイプー観光を終えてイグアスをブラジル側から見る。ゴーゴーという音が聞こえて来るが、姿は見えず。そう、深い霧雨であった。

ブラジル側から全貌を、アルゼンチン側から足元をとのパターンがくずれた。

ホテル前から川まで降りて行く遊歩道が用意されている。

近くへ寄ると少し見えてくる。何かグジャグジャ落ちてくるというのが第一印象である。周りじゅうが大きな滝なので何がなんだかわからない。

遊歩道を降りて行く途中に見慣れぬ動物が寄ってくる。ネズミでもなし、タヌキでもなし、イタチのようでイタチでない。ハクビシンのようなスジもなし。

人慣れしており餌をもらうつもりなのである。

遊歩道の終点には滝の真横にステージが作られている。ステージは金網でできており、 下は川になっており見ることができる。ここの滝高はそう高くないのだが、とにかく水量の迫力に圧倒される。恐ろしいかぎりである。雨期にはこのステージにも水が覆いかぶるそうな。

ホテル我々の泊まったホテルは、国立公園内にある唯一のホテル。イグアス最高のホテルは別にあるのだが、位置的には滝まで歩いて行ける最高のところだ。ホテル・カリフォルニアを思わせる美しさとポルトガル植民地時代の重みを感じさせるホテルである。

一つごめんなさい。ホテルの名前を忘れてしまった。

部屋も大きめのきれいなものであるが、窓がガタガタしていた。これを抑えるのにクサビが用意されていたのがおもしろかった。

料理はブラジルといえばシュラスコ。大きなもも肉なんかを剣に突き刺してテーブルに持ってくる、それをナイフで削いでもらって食べるわけだ。それが次から次へとやってくるのでもうわんこ蕎麦状態になるのだ。最初は楽しかったが、実はこの日で4日連続のシュラスコ攻めである。もういいですわ。

夜には静けさが迫り、遠く滝の音のみが、一晩中聞こえる。

TVの映りは悪く、ブラウン管も思いっきり球形でタマといった感じで、いろいろチャンネルがあった。アルゼンチンのも入っているのだろう。女子プロレスもやっていたが、スポーツというよりストリップみたいでおもしろかった。これもお国がらかな。

普通のOLのような格好をして選手が出てきて、ゴングが鳴る前から取っ組み合いが始まり、双方のドレスがビリビリに破られるわけである。


次の日はアルゼンチン側からで滝の上から見ることになる。朝は曇っていたが、だんだんと晴れてきた。

それにしても流れを間近に見るとその水の厚みをさらに感じざるを得なかった。

生まれて今まで水に厚みを感じることなどなかったのに。

悪魔の喉笛 この欄干は1km以上続いていたが、毎年先の方は流されてしまうそうで、なるほど、手すりが新しくなっていた。
それにしてもなんという川幅か、ここから水が落ちたらそりゃすごいことになるわな。

悪魔の喉笛と呼ばれるここは絶対行ってみるべきであるが、ブラジル側からは行けない。ただ、悪魔の喉笛へ行っても滝の下は水しぶきで何も見えない。だけどまだ、風向きがよかったので文句は言えない。もし風向きが悪ければ、びしょぬれである。


それにしてもここイグアスは、絶対ブラジル側とアルゼンチン側の2個所から見るべきである。

全体の見えるブラジルと悪魔の喉笛・アルゼンチン


アラスカに続いてヘリ観光と洒落こむ。手続きもいい加減でアメリカとは好対照。15分ぐらいのショート・フライト。

ヘリ2

下に我々が歩いた欄干が見える。よく歩いたものだ。歩けない人にはボートでバイパスもできるのだが、この水の流れを見ているととてもじゃないけどボートに乗ろうとは思えない。滝しか見ないと滝はでかいなと思ってしまうが、その背後に控える河の大きさにはさらに驚いてしまう。こんな河だからこの滝かと納得してしまう。というか大きな湖に深い陥没ができているといった方が適切か。

なお、右上の部分がブラジル側で右上にかすかに私の泊ったホテルが見える。左下がアルゼンチン側で河は右上へと流れていく。

ヘリ1

欄干の最終点が写真左の真ん中当たりに見える。ほんとにギリギリのところにあるものだ。おお恐ろしい。

水の厚みをなぜ感じることができたのか、この疑問への答えは高低差であった。そう河に高低差がないのだ。日本のような急流でなく、高低差がないので水が後ろから押し出されていく感じなのだ。

ちなみに私が行ったのは乾季の9月、雨季にはこんなものではないとのこと。欄干への入り口までも到達できないようだ。そりゃそうだろう、乾季でも河の水位と道路の高さがほとんど変わらないのだから、雨季になれば想像に難くない。

無理矢理表現するならば、琵琶湖の琵琶湖大橋の地点で南湖が突然100m陥没していて、北湖から水が流れ落ちるという感じかな。落ち幅は3700mというから琵琶湖大橋より長いが、、、、