南アフリカ 97.9.15記

「南アフリカ」、この言葉に皆さんはどのようなイメージを受けられるでしょうか。人種差別政策、ネルソン・マンデラ、ラグビー、金、ダイヤモンド……・
私自身、アフリカ大陸には4度足を踏み入れ、その他いろんな国にも行っていますが、想像と違ったな、やはり行ってみるもんだなと思わせる国はたまにあります。南アフリカはそんな国でした。

関空を出て、シンガポールまで6時間、トランジット3時間後、さらにヨハネスバーグまで11時間、結構あります。
現在、関空からヨハネスバーグまで直行便(南アフリカ航空)が、飛んでいますが、バンコクで給油するので時間的には18時間程度かかります。

空港に降りたのが、朝の5時過ぎ、予定では日本人スタッフが迎えにきてくれているはずなのにだれもいなーい。明るい雰囲気の空港で危険はなさそう。誰も来ないので電話でもしようと両替に行き「10US$替えて」と言うと「手数料が1回11ランド(300円)と高いので小額の両替はそんなので止めとき」と言われてしまった。手数料の高さに驚くと共に正直にアドバイスをくれた人に何か安堵感というか、隙あらば銭儲けしてやるぞというようなところがないので好感を持ってしまった。

とはいえそのまま連絡が付かないので困っていると「誰か日本人おるか」とのアナウンス。あらら電話でもかかっているのかとインフォメーションに行ってみると日本人らしき人が立ってる。でも、これがどう見ても旅行者。
話し掛けると実は「今着いたばかりだが、仲間とはぐれてしまった。英語も話せないし、この国も初めてで勝手がわからない。どうしたらいいでしょう」だって。なんでもこれから国内線に乗り換えだそうな。
それなら、国内線ターミナルへ行けばみんなと会えるでしょうと私も初めてなのに空港案内をしてしまった次第。笑い話のようでも本人にとってはこういうケース、結構不安になるものです。ただ、この空港はヨーロッパの小奇麗な空港といった感じで不安感はあまりありませんでした。

そうこう1時間ほどして私の名前の書いたカードを持った現地人(白人)が立っているのを見つけることができました。「シャワー浴びたいか」「ヒゲ剃りたいか」「うんうん」「じゃー、私の家へ行こう」朝6時過ぎのことです。

家に着くと朝起きたばかりの奥さんが何事かといぶかしげ、でも寝起きなのに奇麗。言われる通りシャワーして、ヒゲ剃って歯を磨いているうちに小学生の子供もふたり起きてきた。これもなかなか礼儀正しい。奥さんも化粧をビシっとするとこれがまたすごい美人。後で聞いた話ではあるが、この奥さん、化粧品のセールスでヨハネス地域でNo.2なそうな、どうりで、、、

家は平屋でそう大きくもないが(我が家の3倍程度か)、遊び部屋には本物のビリヤード台があるし、庭にはプール、リビングにはミニバーと日本では味わえないリッチな暮らしである。メードは通いの黒人。

子供を学校に送っていくのに便乗したり(なんで初対面の私がこんなはめに)、そうこうしているうちに8時前なので仕事をしに会社へと向かったわけですが、道路がこれが、片道3車線のフリーウェーが縦横無尽に張り巡らされておりアメリカまでいかなくてもオーストラリアみたいな感じである。
ガソリンスタンドは、日本式に近くセルフでなく窓を拭いたりガソリンを入れたりサービスをしてくれる。チップが必要なところは日本と違うけど。
さらに言えば交通道徳がすばらしい。横入りするときも気持ちよく入らせてくれるし、サンキューと必ず口で言ってるし。日本も学ばねばと感心しきり。

飛行機であまり寝ていないのと時差でクラクラしながら仕事してさあホテルと思いきや今日のスケジュールは夕方からケープタウンへ。ここからさらに飛行機で2時間。とほほ、、、

ヨハネスバーグは、海抜1600〜1800mの高地にあって内陸。それとは逆にケープタウンは名前どおり岬の町です。着いて食事したら11時、なんて長い一日だ。やっとホテルかと思いきや着いたところは大き目の民家。玄関のドアには鍵がかかっているのだが、同行者は鍵を持ってて開けてくれた。ゲストハウスと言う名の、ようは日本で言う民宿である。


ところがこの民宿、なかなか居心地がいいのである。部屋も小奇麗で(部屋は全部で6部屋ぐらいかな)、朝食も家族とメード達で作ってくれて、小学生の子供たちも新聞を持ってきてくれたりしてサービスしてくれるのだ。

中庭にはプールもあるが、もちろんこの季節入れるような温度ではない。ベッドには電気毛布が敷いてあるぐらいだ。でも外国で電気毛布なんて初めての経験だ。


さて、ケープタウンの港だが、これが奇麗!! サンフランシスコのフィッシャーマンズ・ワーフのような雰囲気で、洗練されていて治安も悪そうでなく、安心して夜でも散策できそう。帆船なんかもあって、乗れるようになっている。これもマウイのラハイナやサンディエゴ港のようでお決まりごとかな。

ショッピングモールはハワイやゴールドコーストのそれに感じは似ておりブランドショップが軒を並べている。もっとも地元の人は世界中どこへ行っても同じようなお店が同じように並んでいてどこに居るのかわからなくなっていると嘆いておりました。同感!! 実際、ここはどこの錯覚の世界に入り込んでしまいました。ただ、土産物屋に置いてあるものは結構センスがよくて洗練されてます。この当たりはケニヤあたりとはまったく違うヨーロッパ感覚。ダチョウの卵で作った工芸品が他のところとは違うところ。

ちなみにこのダチョウの卵にはいろんな装飾が施されており、工芸品のようになっているのが店頭に飾ってある。これらは1500〜数千円といろいろあるのだが、いろんな店の奥までさがすとなんにも装飾していない卵がごろっと無造作に置いてあったりする。それらは大きさによって200〜500円程度でこちらのほうがお土産としては安上がりである。だちょうの卵というだけで結構お土産の価値はあるしね。



食事の話。南アフリカといっても観光客が食べる料理と言えば限られるよう。特にケープタウンではやはりシーフードが主で結構いける。タコも食べるようでここのところは欧州とはちと違う。スペイン人は食べるけどね。で、ここの特別料理としてはダチョウの肉とサメの料理。どちらもトライしたのでではその話を。

私の食べたサメ料理は、煮物になっていてほとんど原形をとどめていなかったので、サメと言われなければわからない代物。なにかカスカスしてはっきり言って全然おいしくなかったのであります。また食べる気にはなりませんなぁ。

次にダチョウ。2日続けてダチョウ料理だったが、こちらは結構いけるのだ。最初はダチョウの首の輪切りのシチュー、骨付き。油がのっててこれは絶品。鶏肉と言うより牛肉に近い感じで御勧め。次の日はもものあたりのステーキ。こちらは皆さんもほとんど抵抗なく食べられると思う。けど、まずいことはないにしても、特別おいしいわけでもない。ちなみにこのステーキを食べたレストランは、ケープタウンの町から少し離れた海岸にあるレストランで岩礁の上に立っておりなかなかのムード。海を見渡せば、あのネルソン・マンデラが数十年間投獄されていた島が真正面に見える。

ところでこの話題に上っているダチョウ、ワシントン条約違反では思われる方もおられるでしょうが、これはどうも違うようで経済活動として立派に成り立っているみたい。南アフリカには多数のダチョウ牧場があり、孵化、飼育を行っている。肉は食用に、皮はバッグや靴に、その他卵の殻は民芸品にとほとんどが捨てずに利用できるので経済効率がいいようだ。私は見ていないが、足で作ったブックエンドもあるようだが、これはちょっとげてもの趣味かなとも思うが、、、

ところで、前述の奥さんの例を引くまでもなく、南アフリカの女性、特に30歳台の女性がやたらと美しくて気になった。白人の多くは英国、オランダ等から来ている人が多いのだが、どう考えても英国やオランダより美人の比率が高いように思えて仕方ない(まぁ、美人の尺度は個人的部分が多いので与太話とお聞きください)。そこで現地の英国から移住してきた紳士にそれゆえ質問してみた。すると「その通り。欧州よりここのほうが美人が多い。これは間違いないよ」と私の意見を指示してくれた。だけど彼もなぜそうなのかわからないということだった。

英国と言えば、今我が息子は「機関車トーマス」に夢中でおもちゃのみならず、箸箱、Tシャツとなんでもトーマスなので、先ほどの英国紳士に聞いてみたら、私も50年前には夢中だった、ただ当時は本しかなかったけどねということだった。昔からあるんだね。

さて、横道はさておき、現地の人に案内してもらって、南アフリカで自慢されるのは、世界で初めての心臓移植のバーナード博士(名は間違っているかも)のことである。ケープタウンにその病院があり、その脇を通るたびに教えてくれる。日本人も受けたことがあるということも彼らは覚えている。こちらのほうがうる覚えになっているにもかかわらずだ。オリンピックの候補地については自慢と言うより若干懐疑的である。一般庶民はオリンピックにはお金が掛かるので経済状態が悪い現在無理をするとすぐに跳ね返ると心配している人が多い。ただ、ケープタウンの町並みを見ていると不可能じゃないと思えてくる。2004年はアテネと決まったが、第3位と予想以上に検討、2008年に立候補すれば、我らの代表大阪より可能性が高いのではと思って仕方ないのである。

オリンピックのみならず、市民レベルのスポーツも盛んでもちろんラグビーは有名であるが、英国領であったこともありクリケットも盛んで、テレビでは連日やってるし、クリケット専用競技場も立派なものがある。なんでも世界選手権をやったとか。
この写真はガソリンスタンドにあったジョガー用の給水設備、こんなものがあるぐらいスポーツも盛んと言うことなのかな。


最後にケープタウンと言えば、テーブルマウンテンなのであるが、季節的には5月以降は冬で霧もよく発生し、見る機会は少なくなる。ということで毎日テーブルマウンテンテーブルマウンテンとぶつぶつ言っていたが、結局ケープタウンを離れるまで見ることはできなかった。でも、神は我を見放さず、飛行機の上から少しだけその雄姿を見せてくれた。リゾートとしてはこのテーブルマウンテンを海越しに見える位置にいい場所があり、そこが最高のようであるがそれは次回訪問の楽しみにとっておこう。ちなみに最初に登場した私を迎えに来てくれた夫婦の結婚披露パーティーの場所がそこで、波打ち際の岩礁に座り、海越しにテーブルマウンテンという全紙大の結婚写真が家の壁に掛けてありました。思わず写真を撮ってみたのでご紹介したいところですが、まぁプライベートなものなので遠慮しておこう。

できれば、気候のいい季節に家族でまた観光で来たいものである。人なつこい人たち(人種差別政策ってなんだったんだろうと思ってしまう)、美しい自然、。クルーガーランドでサファリもしたいし、ナビブ砂漠も行ってみたいな。でも、遠い国だな、家族で観光するには、、残念!!